平成30年度婚姻関係事件司法統計

第 14 表  婚姻関係事件数―終局区分別
総数:63902件
 認容:2021件
  婚姻継続:別居:1952件
  婚姻継続:同居:69件
 却下:188件
 調停成立:35080件
  調停離婚:24496件
  協議離婚届出:330件
  婚姻継続:別居:9268件
  婚姻継続:同居: 986件
 調停不成立:10758件
 調停をしない:518件
 調停に代わる審判:1933件
 取下げ:13256件
  協議離婚成立:2387件
  円満同居:727件
  金員の支払い等の協議成立:683件
  話合いがつかない:1478件
  その他・不詳:7981件
 当然終了:148件

第 15 表  婚姻関係事件数―終局区分別
申立の趣旨は、離婚 40620件(夫 13835件、妻 26785件)、円満調整 2666件(夫 1469件、妻 1197件)、同居・協力扶助 102件(夫 77件、妻 25件)、婚姻費用分担 20514件(夫 1765件、妻 18749件)。

司法統計

日本の親権に関するアメリカの認識

親権と面会交流は関係ないという人もいますが、アメリカ政府はそのように認識していません。

日本の民法第819条においては、離婚した場合の親権は、どちらか一方の親に定めなければならない、とされています。

このような事が、親権を持たないもう一方の親による子供への面会の妨げとなる場合があります。また、日本の法廷は、親権を決める際に、一方の親による養育が長期に渡った場合、特段の事情が無い限り子の環境を継続させる「継続性の原則」を取り入れる傾向があり、長期に渡って子から離れていた親に対して不利に働く事があります。

日本には実子誘拐の存在すら否定する弁護士もいますが、アメリカをはじめ日本以外の多くの国では実子誘拐は重大な犯罪として認識されています。

<子の奪取とは何か>
もしも子供が、もう片方の親の同意なく片方の親によって他国に連れ去られた場合、それは誘拐であり、国境を越える犯罪です。2014年からアメリカと日本は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約ハーグ条約)」の締約パートナー国です。

jp.usembassy.gov

jp.usembassy.gov

amview.japan.usembassy.gov

台湾における離婚後共同親権制度

親権に関する規定

第 1084 條
子女應孝敬父母。
父母對於未成年之子女,有保護及教養之權利義務。
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https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001

親権の内容に関する規定は日本とほぼ同様。この他、1085条で懲戒権を、1088条で財産管理権を規定している。

離婚時の親権規定

第 1055 條
夫妻離婚者,對於未成年子女權利義務之行使或負擔,依協議由一方或雙方共同任之。未為協議或協議不成者,法院得依夫妻之一方、主管機關、社會福利機構或其他利害關係人之請求或依職權酌定之。
前項協議不利於子女者,法院得依主管機關、社會福利機構或其他利害關係人之請求或依職權為子女之利益改定之。
行使、負擔權利義務之一方未盡保護教養之義務或對未成年子女有不利之情事者,他方、未成年子女、主管機關、社會福利機構或其他利害關係人得為子女之利益,請求法院改定之。
前三項情形,法院得依請求或依職權,為子女之利益酌定權利義務行使負擔之內容及方法。
法院得依請求或依職權,為未行使或負擔權利義務之一方酌定其與未成年子女會面交往之方式及期間。但其會面交往有妨害子女之利益者,法院得依請求或依職權變更之。
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https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001

子に対する権利義務を協議によって一方あるいは双方に課することができるという規定で、離婚後共同親権を認めている。
協議で決まらない場合は裁判所等が職権で判断する。

子の最善の利益を判断するための考慮事項

第 1055-1 條
法院為前條裁判時,應依子女之最佳利益,審酌一切情狀,尤應注意下列事項:
一、子女之年齡、性別、人數及健康情形。
二、子女之意願及人格發展之需要。
三、父母之年齡、職業、品行、健康情形、經濟能力及生活狀況。
四、父母保護教養子女之意願及態度。
五、父母子女間或未成年子女與其他共同生活之人間之感情狀況。
六、父母之一方是否有妨礙他方對未成年子女權利義務行使負擔之行為。
七、各族群之傳統習俗、文化及價值觀。
前項子女最佳利益之審酌,法院除得參考社工人員之訪視報告或家事調查官之調查報告外,並得依囑託警察機關、稅捐機關、金融機構、學校及其他有關機關、團體或具有相關專業知識之適當人士就特定事項調查之結果認定之。
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https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001

裁判所が1055条に基づき単独親権者を指定する際の考慮事項について定めている。

law.moj.gov.tw
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/14-2/ninomiya7.pdf
https://core.ac.uk/download/pdf/288217763.pdf

イギリスにおける離婚後共同親権制度

親権の定義

イギリスでは1989年児童法(the Children Act 1989)で、親権を親責任(parental responsibility)として記載した。

Meaning of “parental responsibility”.

(1)In this Act “parental responsibility” means all the rights, duties, powers, responsibilities and authority which by law a parent of a child has in relation to the child and his property.

https://www.legislation.gov.uk/ukpga/1989/41/section/3

それ以前の1975年児童法(the Children Act 1975)では、親権を親権及び親義務(Parental rights and duties)と記述している。

85 Parental rights and duties.

(1)In this Act, unless the context otherwise requires, “the parental rights and duties” means as respects a particular child (whether legitimate or not), all the rights and duties which by law the mother and father have in relation to a legitimate child and his property; and references to a parental right or duty shall be construed accordingly and shall include a right of access and any other element included in a right or duty.

https://www.legislation.gov.uk/ukpga/1975/72/section/85

呼称は変わったものの(1975年児童法85条は現在でも有効)、親権の定義は、1975年児童法では、法により父母が子及び子の財産に対して有する全ての権利、義務(訪問権などを含む)とされていたものが、1985年児童法では、法により親が子及びその財産について有する全ての権利、義務、権限、責任、権威とされたのみ、定義上で大きな変更があったわけではない。

www.legislation.gov.uk
www.legislation.gov.uk

http://www.lawcom.gov.uk/app/uploads/2016/08/No.096-Family-Law-Review-of-Child-Law-Custody.pdf


www.gov.uk

第2 イギリス(イングランド及びウェールズ)

1 離婚後の親権行使の態様

・ 離婚後も,両親のそれぞれが,子に対して親権(イギリスでは親責任 (parental responsibilities)という用語が採用されているが,本報告書においては,以下においても,「親権」と記載する。)を行使する。なお,親権を有する者は,原則として,それぞれ単独でその親権を行使することができる。
・ 両親は,離婚時に,子が誰と住むか,子が誰といつ一緒に過ごすか,子 の養育に関する経済的な負担等,親権の行使の具体的な方法について,調 整又は取決めをする。この調整又は取決めは,(1)両親の合意によってすることができるが,合意が成立しない場合には,(2)調停による調整が行われ (2014年子及び家族法第10条),(3)調停が成立しない場合には,両 親は,裁判所に,子に関する取決決定の申立てをする(1989年児童法 第8条)。なお,裁判所は,両親の合意を促し,これにより両親間におい て合意に達し,かつ,当該合意内容が子の福祉にとって問題がないと認め られる場合には,手続を中止する。
・ 子に関する取決決定においては,子が誰と住むか,子が誰といつ一緒に 過ごすか,誰といつ面会するのかについて定められる。そのほか,裁判所 は,申立てにより,親権の行使に際して生じた又は生じ得る特定の事項 (子の氏の変更等)に関する決定や禁止措置決定をすることができる。
・ 決定においては,子の意思・意見,子の身体的・心情的・教育的な必要 性,環境の変化が子にもたらす影響,子の年齢・性別・性格・生育環境, 子への危険性,子の要求に対する親の適応能力,裁判所の決定の実効性等 が考慮される(同法第1条(3))。

2 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

・ 親権の行使について争いがある場合には,裁判所が決定をする(上記1参照)。
・ 裁判官は,決定の審理に際して,証拠に基づく事実認定をするが,その際に証拠書類だけでなく,証人尋問が行われる。証人尋問は医師や心理学者,教育学者等の専門家証人によって行われることもある。
・ 子の福祉に関するサービス(子の福祉の促進,裁判所への情報提供,当 事者に対する手続に関する助言等)を提供するCAFCASS(Children and Family Court Advisory and Support Services,司法省が所管する政府外公共機関)が,子や家庭に関する手続についての助言や支援をする。 裁判所は,CAFCASSの職員に対して,子に関する調査及び報告を命じ,その報告内容を参考にして決定をすることもできる。
・ なお,両親間での取決めや裁判所の決定に対して,両親の一方が従わな い場合は,裁判所に対して執行命令の申立てをすることができる。執行命 令に従わないと,合理的な理由を説明しない限り,法廷侮辱罪に問われ得る。

3 共同親権行使における困難事項

・ 例えば,子をどこの学校に通学させるかという問題があり得る。
・ その他,一般的に,判断が困難で,決定までに時間がかかる案件としては,(1)医療記録や警察記録の入手が必要となる事案17,(2)争点が複数あり 証拠量が膨大な事案,(3)国際的な要素を含む事案が挙げられている。

4 子がいる場合の協議離婚の可否

未成年の子の有無にかかわらず,協議離婚は認められず,裁判所の決定が 必要である(1973年婚姻事件法第1条)。

5 離婚後の面会交流

(1) 面会交流についての取決め
面会交流は認められているが,判例上,親の権利ではなく,子の権利と されている。両親は離婚後も親権を保持していることから,親の責務の一 環として,子と面会交流をすることになる。面会交流は,離婚の合意又は 裁判所による子に関する取決決定に従って行われることになる(決定方 法については,上記1及び2参照)。なお,離婚時に面会交流について取決めをすることは義務付けられていない18。
(2) 面会交流の支援制度
・ 両親間の対立が激しい,交流が断絶している等,何らかの理由で,両 親が子との面会交流を実行することができない場合には,CAFCA SSの家庭裁判所アドバイザーが提供するCCIs(Child Contact Interventions)を利用することができる。CCIsは,担当者による 監督の下,面会センターで子との面会を実施したり,両親に対して将来 の面会交流の調整を促したりする。
・ また,面会交流の取決決定に従わないことは,法廷侮辱罪に該当し得る(上記2参照)。

6 居所指定

親権を有する者は,原則として,他の親権者の同意なく親権を行使するこ とができる(上記1参照)。したがって,子の監護教育のために,子と共に 転居することについて,他の親権者から同意を得る必要はない。ただし,子 を外国に連れて行く場合には,法律上,親権者全員から同意を得なければな らない(1984年児童誘拐法第1条)。もっとも,1か月以内の旅行であれば,子と同居する親は,他の親権者の同意なく子を外国に連れて行くこと ができる。

7 養育費

(1) 離婚時に取決めをすることが義務付けられているか
離婚時に養育費の支払について取決めをすることは義務付けられていない19。
養育費の決定方法としては,両親間で合意する,公的行政機関のスキームを利用する,又は裁判所の命令を取得するという三つの方法がある。公的行政機関によるサービスは以下の三つのものがある。
ア 養育費算定のための計算式の提供
子の人数,受給している手当,収入等必要事項を入力することで,養 育費の額を自動で計算することができる計算式が提供されている。こ れにより,両親は養育費の額についての目安を知ることができ,目安に 基づき養育費の取決めを行うことが可能になる。
CMOによる情報提供
CMO(Child Maintenance Option)という行政機関において,養育 費の取決めに必要な情報提供等を行い,両親間の合意を促す。
CMSの利用(合意が成立しない場合)
CMS(Child Maintenance Service)が,養育費の取決めのみならず,所在不明となった親の探索,養育費の支払に関する法的執行力の付 与,徴収,養育費の見直し,養育費の不払への対処等を行っている。た だし,同サービスの利用には,利用料がかかることから,政府としては,CMSの利用よりも,両親の合意による養育費の取決め及びその自主的な支払又は直接徴収による方法を利用することが望ましいとしている。
(2) 養育費支払実現のための制度・援助
上記(1)ウのCMSが,養育費徴収のためにも用いられる。

8 嫡出でない子の親権

一定の事情がある場合20には,父親にも親権が認められる(1989年児 童法第2条(2)。

https://www.moj.go.jp/content/001318630.pdf

子どもの権利条約

第9条

1 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。

2 すべての関係当事者は、1の規定に基づくいかなる手続においても、その手続に参加しかつ自己の意見を述べる機会を有する。

3 締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。

4 3の分離が、締約国がとった父母の一方若しくは双方又は児童の抑留、拘禁、追放、退去強制、死亡(その者が当該締約国により身体を拘束されている間に何らかの理由により生じた死亡を含む。)等のいずれかの措置に基づく場合には、当該締約国は、要請に応じ、父母、児童又は適当な場合には家族の他の構成員に対し、家族のうち不在となっている者の所在に関する重要な情報を提供する。ただし、その情報の提供が児童の福祉を害する場合は、この限りでない。締約国は、更に、その要請の提出自体が関係者に悪影響を及ぼさないことを確保する。

https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig_all.html

Article 9
1. States Parties shall ensure that a child shall not be separated from his or her parents against their will, except when competent authorities subject to judicial review determine, in accordance with applicable law and procedures, that such separation is necessary for the best interests of the child. Such determination may be necessary in a particular case such as one involving abuse or neglect of the child by the parents, or one where the parents are living separately and a decision must be made as to the child's place of residence.

2. In any proceedings pursuant to paragraph 1 of the present article, all interested parties shall be given an opportunity to participate in the proceedings and make their views known.

3. States Parties shall respect the right of the child who is separated from one or both parents to maintain personal relations and direct contact with both parents on a regular basis, except if it is contrary to the child's best interests.

4. Where such separation results from any action initiated by a State Party, such as the detention, imprisonment, exile, deportation or death (including death arising from any cause while the person is in the custody of the State) of one or both parents or of the child, that State Party shall, upon request, provide the parents, the child or, if appropriate, another member of the family with the essential information concerning the whereabouts of the absent member(s) of the family unless the provision of the information would be detrimental to the well-being of the child. States Parties shall further ensure that the submission of such a request shall of itself entail no adverse consequences for the person(s) concerned.

https://www.unicef.org/child-rights-convention/convention-text

www.unicef.or.jp
www.mofa.go.jp

f:id:SupportSharedParenting:20210914012707j:plain
子どもの権利条約 9条 10条


www.unicef.org

平成29年度婚姻関係事件司法統計

第 14 表  婚姻関係事件数―終局区分別
総数:66485件
 認容:2186件
  婚姻継続:別居:2119件
  婚姻継続:同居:67件
 却下:190件
 調停成立:36079件
  調停離婚:25558件
  協議離婚届出:415件
  婚姻継続:別居:9118件
  婚姻継続:同居: 988件
 調停不成立:10866件
 調停をしない:520件
 調停に代わる審判:1483件
 取下げ:14239件
  協議離婚成立:2650件
  円満同居:776件
  金員の支払い等の協議成立:745件
  話合いがつかない:1522件
  その他・不詳:8546件
 当然終了:162件

第 15 表  婚姻関係事件数―終局区分別
申立の趣旨は、離婚 42325件(夫 14579件、妻 27746件)、円満調整 2719件(夫 1472件、妻 1247件)、同居・協力扶助 103件(夫 76件、妻 27件)、婚姻費用分担 20578件(夫 1791件、妻 18787件)。

司法統計